パレットの積み付けパターン|貨物事故を防止するパレタイズ方法を解説 | 東運輸グループ
2023.10.19
効率的な輸送に無くてはならない物流ツールであるパレット。その効果を最大限有効に活用するためにはパレットに載せる貨物を最適な方法で積み付ける必要があります。常に同じ方法で積み付けるのではなく、貨物の形状や大きさ、特徴によってパレタイズ方法は変えるべきです。
本記事では、現場の作業者の経験や勘に任せっきりになりがちなパレットの積み付けパターンについて解説します。パレタイズの基本から応用まで網羅した内容になっていますので、現場作業や現場教育にもご活用ください。
貨物事故を防止するパレタイズの注意点
輸送中や荷扱い時に荷崩れを起こす原因のひとつに、正しくパレタイズが行われていないことにあります。トラックでの輸送中やフォークリフトでの運搬中には、パレタイズされた貨物には縦と横向きの力が掛かります。適切にパレタイズがされていない状態で運搬中に貨物へ負荷が掛かってしまうと、荷崩れが発生してしまう恐れがあるので注意が必要です。
ここではパレタイズを行う際、荷崩れを防止するためにどのような点に注意するべきかを解説します。
重い貨物を下段に軽い貨物は上段に積む
同一貨物でパレットを形成する場合はあまり問題になりませんが、異なる重量やサイズの荷物をパレットへ混載する場合は、重量の重い貨物やサイズの大きい貨物を下に積むことが基本です。パレットの下段に積む貨物は土台の役割を果たすため、上段に積む貨物の圧力にも耐えられるようにバランスを考えてパレタイズすることが重要になります。
最上段に重しになる貨物を載せる
パレタイズの基本は、重い貨物を下段に積み、軽い貨物を上段に載せることです。ただし、単純に重さだけで上下段に分けてしまうとバランスが極端に悪くなってしまうことがあります。具体的には、下段が重く上段が軽いパレット貨物をフォークリフトで運搬中、下段は座りが良くズレる心配がないものの、上段の軽い貨物は自重で支える力が弱いため、横へズレやすくなる心配があります。そのようなときは、パレットの最上段へ「重し」の役割を果たす中程度の重さの貨物を積載することで、パレット全体のバランスを保つことができます。
オーバーハングしないように積む
オーバーハングとは、積載貨物がパレットからはみ出している状態を指します。オーバーハングした状態でパレット貨物を取り扱うと、破損トラブルの原因になります。荷捌き場で仮置きしているときや移動させるときに、他の貨物との接触リスクは高まりますし、トラックへの積み込み時には、先に載せた貨物や後から載せる貨物との接触リスクが懸念されます。また、トラック輸送時にはパレットとパレットの間に緩衝材やコンパネを挟んだとしても、輸送中の振動で貨物同士が動くため、はみ出た貨物が隣の貨物からの圧力で押されることにより、破損の危険性が高まります。パレタイズする際には、破損の原因になるためパレットから貨物がはみ出した状態で積載しないようにしましょう。
パレットの積み方の種類
パレット積み作業を指示するときや、パレットに貨物がいくつ積まれているかを検品する際に「⚪︎回し⚪︎段積み」という表現を使います。「⚪︎回し」とは、1段にいくつ貨物を積むかを表し、「⚪︎段積み」は何段積み上げるかを意味しています。例えば、「5回しの6段積み」であれば、「5×6=30」で1パレット当たり30個の貨物を積むという意味になります。
ここでは具体的にパレットの積み方のパターンを5つご紹介します。
・ブロック積み
・交互列積み(インターロック積み)
・ピンホール積み(風車形積み付け)
・レンガ積み
・スプリット積み
それぞれ詳しく確認していきましょう。
ブロック積み
ブロック積みとは、貨物をブロックのように最下段から最上段まで同じ方向で並べて積み上げる積み方です。平積みとも呼ばれることもあります。
積み方で単純なため、経験の浅い作業者でも早く作業が行なえるうえ、パレットから貨物を取る場合にも、まとめていくつかの貨物を取り出せるため、生産性向上が望める点がメリットです。また、同じ向きに積み上げる性質上、どこか特定の箇所に偏荷重が掛かるといった心配もありません。一方で同じ向きに積み上げる棒積みになるため、横方向からの力に弱く、荷崩れが発生しやすい点がデメリットです。
交互列積み(インターロック積み)
交差列積み(インターロック積み)とは、ブロック積みと同様の積み方を一段ずつ90度向きを変えて積む方法です。
1段1段は横方向からの力に軟弱なものの、互い違いに積むことにより、お互いがバランスを取り合ってパレット全体では比較的横方向からの力に強くなり、荷崩れが起こりにくくなります。ただし、交互に向きを変えて積み上げるには、縦と横の長さがパレットに合わないと積めないため、限られたサイズの貨物でしか使えない積み方です。
ピンホール積み(風車形積み)
ピンホール積み(風車形積み)とは、段ごとに向きを180度反転させながら積み上げていく方法です。1段ずつ向きを反転させることで横方向からの力の耐久力が期待できます。
ピンホール積みのメリットは、空気の通り道になる穴がパレット中央にできて、冷蔵保管や低温輸送などの温度管理が必要な貨物に適している点です。一方で中央にできる隙間がデットスペースになるため、パレット上の積載率が下がってしまう点がデメリットです。
レンガ積み
レンガ積みとは、ひとつの段に縦横の向きを混ぜ、さらに段ごとに向きを180度変えながら積み上げていく方法です。紙袋などを積むときによく用いられる方法で、ズレやすい貨物を安定的に載せられます。
メリットは、荷崩れが発生しにくい点と全ての貨物の側面を見えるように積めることによる検品のしやすさにあります。デメリットは、積み方は極端に複雑ということはないものの、ブロック積みや交互列積みに比べると多少の慣れが必要な積み方なため、誰でも同じような作業効率を求めるということが少々困難な面があります。
スプリット積み
スプリット積みとは、レンガ積みの応用パターンで、レンガ積みと同様に横向きに積んだ貨物の間に隙間(スプリット)を設けて積む方法です。
ダンボールの縦横比がパレットに合わなくても、隙間を空けて全体に形を調整できるため、さまざまな形状の貨物とサイズが色々なパレットに合わせられます。ただし、隙間を上手く空けずに積んでしまうと、上段に積んだ貨物を下支えできなくなるので、荷崩れの原因となってしまう恐れがあるので注意が必要です。
まとめ
今回は、輸送や保管の効率性や安全性を左右するパレットの積み付けパターンについて解説しました。貨物をパレットに積み付けるパターンは複数あり、貨物の配列や各段における縦横の方向などが異なります。貨物の形状や特徴、パレットサイズに合わせて、安全性とバランスを考慮して積み付け方法を選ぶことが重要です。また、貨物事故を防ぐには、重い貨物を下段に積み、軽い貨物を上段に積むことや、貨物がパレットからはみ出るオーバーハングにならないことなどを注意しましょう。