流通加工とは?アウトソーシングするメリット・デメリットを解説 | 東運輸グループ
2024.03.01
製品を流通・販売するために重要な役割を担う流通加工。その中でも、物流工程でおこなう加工業務を物流加工と呼びます。生産者からユーザーへ円滑に商品を流通させるために、必要不可欠な流通加工ですが、どのような商品で流通加工がおこなわれているのか、具体的にどのような加工を物流加工と呼んでいるのかなど、明確に整理できている方は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、流通加工の概要と物流業者へアウトソーシングするメリット・デメリットを解説していきます。流通の効率化を目指す方や、物流加工の導入を検討している方は、ぜひご参考にしてください。
流通加工とは
流通加工とは、商品の価値を高めるために流通過程で施す加工を指していて、流通の効率化に役立っています。主に商品のラッピングや箱詰め、ラベルや値札付けなどが流通加工に当たります。
例えばアパレル業界の場合、検針・タグ付け・ハンガー掛け・値札付けなどの流通加工が物流工程の中で施されることが多く、それにより販売店舗に商品が届いたときには即座に陳列できる状態が整っています。このプロセスは、店舗での販売活動をスムーズに行うために非常に重要です。
流通加工を物流業者へアウトソーシングすることは、販売工程の前に行う手間のかかる加工を物流業者に代行してもらうことで、顧客は本業の販売活動に専念できるというメリットがあります。一方物流業者としても、保管や配送といった物流サービスに加工という付加価値を付けることで、サービスの差別化が図られ、売上拡大や荷主企業とのパートナーシップ強化などのメリットが望めます。近年では、コストダウンの観点からもメーカーや流通業者が各々で加工を行うより、物流加工を利用した方がコストメリットが出るという背景から、流通加工を物流業者へアウトソーシングする流れが活発化しています。
流通加工の種類
流通加工の業務範囲は非常に広く、商品によってさまざまな種類があります。ここでは、代表的な流通加工をいくつかご紹介します。
1,包装・ラッピング
2,値札・タグ付け
3,ラベル貼り
4,検品・検針
5,箱詰め(アソート)
6,組み立て
それぞれ詳しく確認していきましょう。
1,包装・ラッピング
商品を袋や箱に入れて消費者に届けられる状態に整える「包装•ラッピング」。説明書やカタログなど印刷物や物品の「封入」作業が代表的で、その他にも封筒や袋に封をする「封緘」作業も多く行われています。近年では、EC物流の過程で包装紙やリボンなどを用いてギフト用ラッピングをおこなう需要も高まっています。
2,値札・タグ付け
衣類などのアパレル製品に値札やタグを付けたり、製品や商品に説明の札や販促用のPOPなどを付ける「値札・タグ付け」。生産現場と販売現場の間にある物流現場で値札・タグ付け加工を行うことで、生産現場の負担を軽減できると同時に販売現場では商品が届き次第スムーズに販売業務ができるメリットがあります。
3,ラベル貼り
商品や製品の外装に製品名や賞味期限、JANコードなどが記載された製品ラベルを貼る「ラベル貼り」。輸出入品の場合、状況に合わせて製品ラベルを貼り直す業務が発生します。例えば、輸出品は輸出先の言語ラベルを貼る作業があり、輸入品は日本語ラベルを貼る作業の需要があります。
4,検品・検針
商品に汚れや傷などの不具合がないか確認する「検品・検針」。家電製品などの機械品の場合、電源を入れて動作確認を行ない、アパレルの場合はミシンでの縫製の際に針が混入していないか確認作業が実施されています。万が一、企業が不良品を販売してしまうと、消費者の信用を失いかねない重大なクレームに発展するおそれがあるので、企業の信用を守るため検品・検針は非常に重要な加工業務です。
5,箱詰め
お中元やお歳暮、福袋などの季節商品や冠婚葬祭用のお返し品などの特別な商品を生産する際に行われることが多い「箱詰め」。通常品は工場に専用の機械を入れて自動で箱詰めすることが一般的ですが、季節商品やキャンペーン品など大きな需要が見込まれない商品では、そのだけのために工場に機械を入れると非効率なため、手作業で箱詰めを行うことが多いです。
6,組み立て
機械製品や家具などでおこなわれることが多い「組み立て」。パソコンや家電製品などで使用される精密機械や自動車部品などの製造工程でおこなわれています。また、店舗で商品を陳列するときに使用する什器を組み立てたり、家具の組み立てサービスも、流通加工の組み立てに該当します。
流通加工をアウトソーシングするメリット
流通加工を物流業者へアウトソーシングすると、以下3点のメリットが期待できます。
・コア業務に注力できる
・品質を向上できる
・コストを削減できる
それぞれ詳しく確認していきましょう。
コア業務に注力できる
物流業者への流通加工のアウトソーシングを通じて、企業はコア業務への集中を実現できます。これにより、以前は流通加工に割かれていた人的資源を、より価値の高いコア業務に再配置することが可能になります。企業の現状や目標に応じて、商品企画やマーケティングなど、企業の核となる部門に人材を投資できるようになるでしょう。特に、事業の成長を目指す企業や新しい市場への挑戦を考えている企業にとって、流通加工の外部委託は、ビジネスの機会を広げる効果的な戦略となり得ます。
品質を向上できる
流通加工を物流業者へアウトソーシングすることは、専門知識やノウハウを持つプロへ加工業務委託することを意味しているため、作業効率や品質の向上が見込めます。流通加工は、ミスが許されない繊細な作業です。そのため、不慣れな自社の従業員を教育し続けるよりも、専門業者へ委託して、それを管理していく方が高品質なサービスを継続して提供できると期待されています。
コストを削減できる
流通加工をアウトソーシングすることで、業務全体の効率化が図られます。加工業務の部分最適よりも、自社の業務全体の最適化を実現することでコスト削減につながります。自社で流通加工をおこなう場合、作業設備や人員などの確保のために固定費がかかりますが、業務をアウトソーシングした場合は、それらの費用を変動費として計算できるため、変革の多い現代のビジネスシーンでは重宝される傾向にあります。
流通加工をアウトソーシングするデメリット
流通加工を物流業者へアウトソーシングすると、以下2点のデメリットが懸念されます。
・品質低下のおそれがある
・流通加工のノウハウが蓄積できない
それぞれ詳しく確認していきましょう。
品質低下のおそれがある
プロの物流業者へ加工業務をアウトソーシングすることで、品質の向上が期待できるのは事実ですが、それはきちんと情報共有など十分な連携ができてはじめて実現できるものです。委託元と委託先の連携が上手くできていないとオペレーションが想定するように機能せず、むしろ品質の低下を招きかねません。
また、トラブルなどでイレギュラーな対応が発生した際、自社の従業員であれば柔軟な対応が取りやすいですが、他社に業務委託している場合は、スムーズに対応してもらえないことも考えられます。イレギュラー対応も含め、品質の低下に繋がる事態を回避すべく、委託先の教育やフィードバック、密なコミュニケーションを行うことが大切になります。
流通加工のノウハウが蓄積できない
流通加工をアウトソーシングすることで直接流通加工に携わる機会がなくなってしまうため、流通加工の業務ノウハウを持つ自社従業員を育てられなくなるおそれがあります。流通加工に限らず業務をアウトソーシングする際に必ず付いてくる問題ですが、ノウハウを自社内に蓄積しにくい点は、デメリットとして認識しておくべきです。
将来的に流通加工や物流業務を内製化したいと考えている場合は、それを見越してノウハウを蓄積したり、社内でノウハウの教育をおこなったりする取り組みを検討しましょう。
まとめ
今回は、流通加工の概要と流通加工をアウトソーシングするメリット・デメリットについて解説しました。
流通加工は、商品に付加価値を持たせるために重要であることはもちろん、商品が消費者に届くまでのプロセスにおいても必要不可欠な工程です。流通加工を物流工程の中に組み込むことで、加工業務を効率化させられるメリットがあります。
ただし、アウトソーシングする際には、品質面についてはしっかりと管理するようにしましょう。アウトソーシングすることで、一般的に品質の向上が図れるはずですが、指示が不十分であったり、やり方を間違えてしまうと、品質を低下させてしまいかねません。流通加工をアウトソーシングする際は、メリットを最大化させられるように、委託先の物流業者としっかりコミュニケーションを取って業務管理を行うことが重要です。