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倉庫の保管料はどう計算されている?契約単価と計算方法を解説 | 東運輸グループ

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2024.03.01

物流業界において、倉庫保管業務は避けて通れない重要な要素です。保管料は物流コストを大きく左右し、その単価設定や計算方法については、詳しく理解している方が意外にも少ないのが実情です。

そこで本記事では、保管料の基礎知識から計算方法に至るまでを詳細に解説します。物流コストを見直したいと考えている方にも有益になる内容になっていますので、ぜひご参考にしてください。

 

倉庫保管料とは

倉庫保管料は、企業が商品や資材を倉庫に預ける際に発生する費用です。保管料は、保管する物品の量や大きさ、保管期間に基づいて計算されますが、倉庫の立地や提供されるサービスの種類によっても異なります。例えば、温度や湿度を一定に保つ必要がある食品や医薬品の保管は、一般倉庫ではなく定温倉庫や低温倉庫、危険物に該当する化学品は危険別倉庫に保管する必要があるため、一般的な貨物と比べて高額な保管料がかかる傾向にあります。

 

また、立地条件によっては、保管料が周辺地域相場の1.5~2倍になることもあります。ただし、単に保管料が安いからといってアクセスが悪い倉庫を選ぶと、輸送時間の延長やドライバー確保の難しさなど、結果的にコストが高くつくおそれがあります。そのため倉庫を選ぶ際には、保管料だけでなく総合的なコストを考慮することが重要です。

 

保管料は物流コストを構成する重要な要素の一つであり、効率的な在庫管理やコスト削減に直結するため、企業が物流戦略を立てる際には、保管料の最適化が重要な課題となります。保管料の最適化実現のためには、保管する商品の回転率を高める、保管スペースを効率的に利用する、または保管条件に見合った倉庫を選定するなどの方法が有効です。

 

保管料の単位設定

保管契約上、どのような単位で計算するかによって保管料は大きく変わることがあります。特に重要なポイントは、貨物の荷姿や取り扱い量、入出庫の頻度などの特性に合わせて適切な単位を設定すべきという点です。

 

ここでは、よく使われる5つの保管料の契約単位と、それぞれの単位の特徴を解説していきます。

坪建て

倉庫の保管料は、一般的に坪(1坪=約3.31㎡)単位で計算されます。この料金体系を「坪建て」と呼び、使用する坪数を基にして保管料を計算します。

 

坪建て契約には、「使用坪契約」と「固定坪契約」の2つの形態があります。使用坪契約は、都度使用した坪数に応じて保管料が計算されるため、需要に応じて柔軟に対応できる特徴があります。一方で固定坪契約は、あらかじめ使用する坪数を固定し、その契約坪数で請求金額が固定されるため、重要が変動して保管物量が上がり下がりしても、保管料は常に一定です。

 

個建て

「個建て」とは、商品1個あたりの単価を基にして、実際に倉庫に保管した荷物の個数を掛けて保管料を計算する方法です。主に、荷物のサイズや種類が均一である状況に適しています。

 

個建て契約では、商品1個あたりの単価と保管個数を掛けて保管料を計算する特性上、需要期には保管料が上がる傾向にありますが、閑散期には保管料が下がるため、需要の変動リスクに対して柔軟に対応できるメリットがあります。一方で「坪借り」のように、事前に倉庫のスペースを確保してもらう契約ではないため、他社との競合による保管スペースの不足リスクがあります。

 

パレット建て

「パレット建て」は、パレット単位で保管料の単価を設定する方法です。入庫から保管、出庫までパレットのまま荷姿が変わらない貨物を大量に扱う場合、パレット建てでの計算が効率的です。

 

パレット建ての計算方法は、個建てと同様、1パレットあたりの単価と保管パレット数を掛けて保管料を計算します。物量によっては、個建てからパレット単位の一塊にすることにより、保管コストを抑えられるケースがあるでしょう。

 

重量建て

「重量建て」は、商品の重さに基づいて単価を設定して保管料を計算する方法です。この手法は、容積の割に重要がある貨物で、個数やパレットで数量を管理しづらい液体や粒、粉状のバラ貨物に適しています。

 

保管料を計算するにあたり、貨物のサイズや保管容器の個数にかかわらず、重量に応じた保管料が設定されます。ただし、倉庫の床は耐荷重制限があるため、その上限を超えないように保管する必要があり、それが重量あたりの単価を設定するうえで重要になってきます。例えば、倉庫床面の耐荷重量を考えると坪あたりの保管できる重量が計算できるため、計算方法は坪建てに近い考え方になります。

 

容積建て

「容積建て」は、貨物の容積に対して単価を設定して保管料を計算する方法です。通常立方メートルが単位として使われ、貨物が占める空間に基づいて単価が設定されます。

 

主に容積建ては、木材やパイプなどの建築資材のような大型かつ容積の大きい貨物に使われたり、海上コンテナで輸送される貨物で使われたりしています。海上コンテナを使用する場合は、その移動には特別な設備や操作が必要となるため、単純に保管料だけでなく、付帯費用が発生することがあります。

 

倉庫保管料の計算期間

保管料を計算するうえで対象の期間をどのように区切るかは、いくつかのバリエーションが存在します。ここでは、最も一般的な3期制とその他の計算期間の違いに焦点を当て、メリット・デメリットを掘り下げ、実際の計算例を通じてその影響を解説していきます。

 

3期制

3期制とは、1ヶ月を3つの期間に分割し、各期間の在庫状況に基づいて保管料を計算する方法です。具体的には、月の初日から10日、11日から20日、21日から月末までを1期間とし、それぞれの期間での保管数量に基づいて料金を算出します。この計算方法のメリットは、在庫の変動に柔軟に対応できる点にあります。例えば、ある期間に在庫が少なければ、その分保管料も抑えられます。一方で、管理が煩雑になりがちであり、短期間での在庫変動に敏感になりすぎる可能性がある点はデメリットと言えるかもしれません。

 

計算例

第1期の在庫量(前期繰越残+ 入庫数):250個

第2期の在庫量(前期繰越残+ 入庫数):100個

第3期の在庫量(前期繰越残+ 入庫数):50個

単位あたりの保管料:5円

保管料の合計は、(250×5) + (100×5)+ (50×5) = 1,250 + 500 + 250 = 2,000円となります。

 

2期制

2期制は、月を2つの期間に分割し、それぞれの期間での在庫量に基づいて保管料を計算します。例えば、月の1日から15日までを第1期、16日から月末までを第2期と定義することができます。この方法のメリットは、3期制と比べて管理がややシンプルになり、短期間での在庫変動に対してもある程度の柔軟性を持たせることができる点です。デメリットは、1期制に比べるとまだ管理が複雑であり、最適な在庫量の維持が難しい場合があることです。

 

計算例

第1期の在庫量(前期繰越残+ 入庫数):250個

第2期の在庫量(前期繰越残+ 入庫数):100個

単位あたりの保管料:5円

保管料の合計は、(250×5) + (100×5) = 1,250 + 500 = 1,750円となります。

 

1期制

1期制は、月全体を1つの期間として扱い、その期間内の最大在庫量に基づいて保管料を計算します。1期制の最大のメリットはそのシンプルさにあります。1ヶ月単位で在庫管理を行うことができるため、計算や管理の手間が最も少なくなります。しかし、そのシンプルさゆえに、在庫量の急激な変動に対する柔軟性が乏しくなるというデメリットがあります。

 

計算例

月内の在庫量(前期繰越残+ 入庫数):250個

単位あたりの保管料:10円

保管料は、250×10 = 2,500円となります。

 

まとめ

今回は、倉庫料の基礎知識と計算方法を解説しました。

倉庫保管料の計算には、保管する貨物の特性や保管期間に応じた様々な方法があります。適切な単位と計算期間の選択により、物流コストの最適化が可能になります。荷主企業と物流業者が共に適切な倉庫料の基礎知識を持つことで、双方にとって適切な保管契約の締結が容易になるでしょう。

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