物流業界存続のための働き方改革!ホワイト物流とは? | 東運輸グループ
2022.11.30
物流業界は現在、深刻な人材不足問題に直面しています。特にドライバー不足の問題の深刻さは顕著で、令和元年12月の有効求人倍率が3.04倍となるなど、近年の物流業界においてトラックドライバーを確保することは非常に困難な状況です。
「その要因はどこにあるのか?」
少子化問題など働き手が減少している現実はあるものの、トラックドライバーの労働環境も要因の一つに挙げられます。
他の産業と比較して労働環境整備が遅れていると言われる物流業界が今後もその物流機能を維持させていくために、今何が必要とされているのか?「ホワイト物流」という切り口で物流業界の今後について考察していきます。
ホワイト物流とは
国民生活の安定と持続的な経済成長に不可欠な物流。それを支える輸送業界は「トラックドライバーの減少と高齢化」「拘束時間や心身への負担が大きい反面、賃金が低い」という問題を抱えています。
そこで物流業界の存続をかけた取り組みとして注目されているのが、国土交通省・経済産業省・農林水産省の3省主導でトラック輸送の生産性向上・物流の効率化と女性や60代以上のドライバーも働きやすい「ホワイト」な労働環境の実現を目指す「ホワイト物流推進運動」です。
ホワイト物流はトラック運送の労働環境改善についての取り組みのため、物流企業のみが取り組めば十分だと思われる方も多いかもしれません。しかし、実際には多くの関係者の協力のうえに成り立つ改善活動のため、他業種を含めた関係者の理解と協力が必須です。
「貨物の積み下ろし作業での手荷役」や「納品先での長時間待機」といった場面を想像すれば分かるように、労働時間が長くなる要因は、物流企業によるものだけではありません。むしろ、外的要因によるものが大きいため、荷主企業や納品先企業のような周囲の協力が不可欠になります。
2019年に開始されたホワイト物流推進運動は、2022年10月末日時点で1,493社の企業が賛同する動きとなっています。賛同企業は、物流企業はもちろん、製造業や建設業、電気・ガス・水道業、情報通信業からその他サービス業まで、多岐にわたっていて、「荷待ち時間の削減」「荷役作業の負担軽減」を実現のための施策を検討しています。
引用:全日本トラック協会 「トラック運送業界の2024年問題について」
ホワイト物流がもたらす物流業界の未来
ホワイト物流が取り組むべき物流課題とその課題を解決した先にある物流業界の未来について確認していきましょう。
待機時間減少
輸送会社が荷主企業へ改善を求めることの筆頭に長時間待機の改善があります。
貨物の積み下ろしは先着順で行われることが多く、積み下ろし現場の処理能力に限りがあるにもかかわらず、トラックが集中してしまうと、無駄な手待ち時間が発生してしまうことが頻繁にあります。
改善策として期待されているのが、ITを活用した「予約受付システム」です。このシステムを上手く活用すれば、ドライバーの待機時間削減に繋がることはもちろん、荷主企業の倉庫運営の効率化やコスト削減にも繋がるため、双方に大きなメリットが見込まれます。
引用:全日本トラック協会 「トラック運送業界の2024年問題について」
引用:全日本トラック協会 「トラック予約受付システムのご案内」
手荷役作業の減少
貨物の荷姿によって荷役の作業負担と作業時間は大きく変わります。バラ貨物の場合、積み下ろし作業をドライバーが一つ一つ手荷役するため、肉体的な負担と長い拘束時間が発生してしまいます。
一方、パレットを活用して貨物のパレット化ができれば、積み下ろし作業をフォークリフトで行うことができるため、それらの課題を解決できます。
パレット輸送を実現するためには、出荷側と荷受け側両方の荷役機械設備の整備やパレットのまま保管できる保管スペースの確保など、取引先企業の協力が必要になります。
また、パレットを誰がどのように準備するかによって、コスト負担の問題も発生します。しかし、パレットを自前で用意するにしても、レンタルパレットを活用するにしても、パレットコストは安定した物流機能維持のための必要経費という認識を関係者全員が持つ必要があります。
配送ルートの効率化
トラックドライバーの労働時間が長くなってしまう要因の一つに、効率化されていない配送ルートが挙げられます。
その課題解決策として注目されているのが、車両管理システムです。同システムは、渋滞多発地帯や道路規制エリアなどを回避した配送ルートの作成やリアルタイムでの運行スケジュール変更の指示も可能なため、ドライバーの労働時間短縮の一助になります。
まとめ
ホワイト物流推進運動は、トラック輸送の生産性向上・物流の効率化と女性や60代以上のドライバーも働きやすい「ホワイト」な労働環境の実現を目指した社会的な取り組みです。
そのポイントは「すべての関係者が連携して取り組む」という点にあります。
貨物を出荷する側の荷主企業や納品先企業、個人宅への配達であれば、一般の市民も連携して、この物流問題に取り組む必要があります。
国民生活の安定と経済の発展を支える物流を存続させるために、私たちはホワイト物流について真剣に考える必要に迫られています。
弊社は物流現場での働きやすい環境構築に積極的に取り組んでいることはもちろん、小口貨物の輸送から大口貨物のチャーター便まで幅広く輸送業務を承っております。 食品から工業製品まで多種多様な貨物の取り扱い実績とノウハウに自信があります。
物流課題解決にお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください!