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脱炭素社会の実現へ〜物流業界に求められる使命とは? | 東運輸グループ

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2022.10.26

 

物流業界は深刻な人手不足の問題が取り上げられることが多いですが、近年では環境問題の観点から「脱炭素」へのシフトが求められています。

今回は社会的重要度が高まっている物流業界における脱炭素動向について、物流業界が抱える課題と取り組みを解説いたします。

 

物流業界が直面する脱炭素問題

日本産業全体、官民連携で課題解決が求められる脱炭素問題で、物流業界がどのような課題を抱えているのか、また、どのような役割が求められているのかを見ていきましょう。

 

脱炭素とは

脱炭素とは、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を「実質ゼロ」にする取り組みのことです。

2015年にパリ協定が採択されて以降、「2050年カーボンニュートラル」という長期目標が掲げられ、脱炭素社会の実現に向けて世界的に取り組まれています。

 

物流業界の現状

物流業界では長年人手不足問題が取り上げられていますが、近年では環境問題の観点からも遅れが見え始め、その解決に向けた動きが加速しています。

国土交通省の資料によると、日本の部門別二酸化炭素排出量のうち、自家用車・営業貨物車などを含めた「運輸部門」からの排出量は1億8,500万トンで、日本全体の17.7%を占め、「産業部門(34.0%)」に次ぐ二酸化炭素排出量となっています。

また、運輸部門の内訳を確認すると、特に貨物分野において二酸化炭素排出量の削減が遅れているという現状があります。その要因の一つは、ECサイトの拡大に伴い、物流業界における多頻度小口配送化が進み、積載効率が低下と不在による再配送の多発していることと考えられます。

「2050年カーボンニュートラル」の目標達成のために、二酸化炭素排出量の多い物流業界がどれだけ脱炭素に向けて取り組めるか重要性が高まっています。

引用:国土交通省ホームページ「運輸部門における二酸化炭素排出量

引用:国土交通省ホームページ「運輸部門における二酸化炭素排出量

 

政府の脱炭素目標

日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現と2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、2021年5月26日に地球温暖化対策推進法を改定しました。

日本は現在、年間で約12億トンを超える温室効果ガスを排出しています。改定地球温暖化対策推進法は、2050年カーボンニュートラル宣言やパリ協定に定める目標達成のため、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする必要があります

引用:環境省脱炭素ポータル

 

物流業界が脱炭素で取り組む施策

脱炭素というテーマは努力目標ではなく必達すべき目標です。

今後、日本国内において、脱炭素へ真剣に取り組まずに事業継続は不可能と言っても言い過ぎではありません。

物流は全ての経済・産業に大きな影響を持つ業界であり、止まることが許されないため、現在、物流業界は永続可能な環境配慮型の仕組みの構築が強く求められています。

 

物流業界の脱炭素プラン

トラック運送業界の脱炭素化の取り組みとして、2014年に「新・環境基本行動計画」が策定されました。これは2001年に全日本トラック協会主導で策定された環境基本行動計画を見直したもので、大気汚染問題や地球温暖化問題に対して、トラック業界一丸となって脱炭素へ取り組む基本行動指針です。

引用:全日本トラック協会「新・環境基本行動計画」

上記の施策を踏まえて具体例の一部をご紹介します。

・連結トラックの導入

1台のキャリアで大型車2台分の輸送を行えるダブル連結トラックの導入が始まっています。省人化と共に二酸化炭素排出軽減の効果が見込まれるため、今後益々の普及が期待されます。

引用:国土交通省「ダブル連結トラック」

・「置き配」の普及

置き配の概念が普及すれば、再配達による二酸化炭素排出の削減が期待されます。宅配ボックスなどを活用することで、受取人が不在の場合も配送を完了できる社会体制の整備が求められています。

・EVトラック・天然ガストラックの導入

EVトラック・天然ガストラックは、ディーゼル車と比較して二酸化炭素の排出量を大幅に削減できるというメリットがあります。しかしながら一方で、充填スタンドの普及がなされないことや充填時間が長いこと、航続距離が短いことなどの運用面の課題と車両価格が高額で導入に大きなコストが発生するという導入時の課題があります。

 

地球温暖化対策税(炭素税)

現在、日本の炭素税に該当する地球温暖化対策税の税率は289円/tCO2であるのに対し、EU内で最も高い炭素税率のスウェーデンでは約15,670円/t-CO2(通常税率)と税率に大きな差があります。

今後、日本においても炭素税(地球温暖化対策税)が強化される流れは既定路線で、EU諸国同等の税率が適用された場合、どの産業・業種であっても大きなコストアップの転換期を迎えることが予想されます。

物流業界においても炭素税の増税が直接運賃に反映されて、輸送コスト上昇の懸念があります。

引用:環境省「諸外国における炭素税等の導入状況」

 

まとめ

日本の二酸化炭素排出量の現状は、物流・運輸業界の排出量が全体の17.7%を占めています。

必達が求められる「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けて、物流業界は脱炭素というテーマのもと、今まで以上に環境配慮型の事業運営が求められます。

そのためには、脱炭素の重要性を物流業者のみならず、荷主や消費者もしっかりと理解して、永続可能な仕組み作りを社会全体で行う必要があります。

 

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