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3分の1ルールとは?物流業界への影響と見直しの必要性を解説 | 東運輸グループ

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2024.03.07

2024年問題をはじめ、現在物流業界における負担軽減の流れが求められる中で、「3分の1ルール」見直しの必要性が注目されています。食品業界の商習慣である「3分の1ルール」が物流業界にも負担をかけているという事実は、意外にも知られていない事実かもしれません。

 

そこで本記事では、3分の1ルールが物流業界に与える影響と、その見直しの必要性について深掘りしていきます。3分の1ルールとは具体的に何を指し、物流業界へどのような影響をもたらしているのかを探ります。

 

3分の1ルールとは

引用:「納品期限の緩和を進める事業者が大幅に増加!」関東農政局

3分の1ルールとは、日本の食品業界における特有の商習慣であり、食品の賞味期限が残り3分の1に達する前に、卸業者が小売店に納品しなければならないというルールです。このルールは、食品メーカーと小売店間の取引において重要な役割を果たしています。例えば、賞味期限が6ヶ月の商品の場合、賞味期限が残り2ヶ月を切るまでに小売店に納入されなければなりません。

 

この習慣は、賞味期限が近づく商品を消費者が敬遠する傾向に対応するために生まれました。日本では賞味期限が近い商品を避ける消費者が多いため、賞味期限がまだ十分に残っているにもかかわらず、品質に問題のない食品が大量に廃棄されるという問題を抱えています。3分の1ルールにより、食品メーカーは賞味期限が近い商品を小売店に納品するリスクを避けられますが、その一方で、この厳しい商習慣が食品ロスを生む原因になると共に、物流業界への負担にもつながっています。

 

近年、この問題に対処するため、農林水産省をはじめとする関連機関では、3分の1ルールの緩和に向けた取り組みが進められています。大手小売店を中心に、このルールの緩和が進んでおり、賞味期限が近い商品でも積極的に取り扱う動きが見られ、食品ロスの削減につながることが期待されています。また、消費者側でも、賞味期限が近い商品を格安で購入できるサービスが登場しており、フードロス削減に貢献する新たな選択肢が提供されています。

 

3分の1ルールの物流業界への影響

3分の1ルールは、物流業界において、賞味期限管理という重要な側面で大きな影響を及ぼしています。このルールにより、食品メーカーと小売店間での取引において、賞味期限が残り3分の1に達する前に商品を納品しなければならないという厳しい条件が課せられています。この結果、物流業者は、賞味期限が近づく商品の在庫管理に格段の注意を払わなければならず、これが業務の複雑化とコスト増加に直結しています

 

賞味期限管理の難しさは、特に在庫管理において顕著です。物流業者は、商品が賞味期限の3分の1を切る前に小売店に納品されるよう、厳密なスケジュール管理を行わなければなりません。これには、高度な物流管理システムと、賞味期限ごとに細かく分類された在庫管理が必要となり、物流業界における運用コストの増大を招いています

 

さらに、賞味期限外という理由での納品受け取り拒否は、物流業界にとって別の大きな課題です。賞味期限が残り3分の1を切ってしまった商品は、小売店から受け取りを拒否されることが多く、これにより物流業者は商品をメーカーに返送する業務が追加で発生します。この返送プロセスは、追加の配送コストを発生させ、物流業界の負担を一層重くしています。返送された商品は、最終的にはディスカウント販売されるか、場合によっては廃棄されることもあり、これがフードロスの問題をさらに悪化させる要因となっています。

 

物流業界における課題

物流業界は、3分の1ルールに起因する複数の課題に直面しています。ここでは物流業界が抱える課題を整理していきます。

 

在庫管理コストの増加

賞味期限管理の厳格化は、在庫管理の複雑さを増加させます。物流業者は、商品が賞味期限が残り3分の1に達する前に小売店に納品されるよう、細心の注意を払ってスケジュール管理を行わなければなりません。これにより物流システムの運用コストが増大し、特に小規模な物流業者にとっては大きな負担となっています。

 

賞味期限外商品返品による追加コストの発生

賞味期限が切れた商品の返品問題も大きな課題の一つです。賞味期限が残り3分の1を切った商品は、小売店から受け取りを拒否されることが多く、物流業者はこれらの商品をメーカーに返送する必要があります。この返送プロセスは、追加の配送コストを発生させ、物流業界全体の効率性を低下させています。

 

廃棄業務が発生

賞味期限が3分の1を切ってしまった商品を廃棄する業務の発生は、人材不足問題や労働時間短縮化の課題を持つ物流企業を苦しめる要因の一つです。賞味期限管理の厳格さにより、品質に問題のない食品でも廃棄する必要があり、その都度物流企業は、食品メーカーや卸業者の指示の元、廃棄のために在庫管理や出庫作業などの処理作業への対応が求められます

 

物流業界における展望

物流業界における展望は、物流システムの進歩や日本の食品業界の商習慣見直しによって改善されていくと期待できます。ここでは、今後の食品物流における展望について確認していきましょう。

 

IoTやAIの活用による物流システムの進化

負担の大きい賞味期限管理などの在庫管理業務は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の技術を活用することで、作業負担の軽減ができると期待されています。これらの技術を用いることで、物流業者はリアルタイムで商品の賞味期限を追跡し、在庫をより効率的に管理することが可能になります。結果として、在庫の過剰保持や賞味期限切れによる廃棄を大幅に減少させることができ、物流コストの削減にも繋がります。

 

3分の1ルールの見直し

日本の食品業界特有の商習慣が見直しされれば、物流業界への負担も軽減されると考えられます。具体的には、3分の1ルールの見直しが進めば、賞味期限が迫った商品の取り扱いに対する柔軟性が高まり、物流業者や小売店はより効率的な在庫管理と配送スケジュールの計画が可能になります。

 

3分の1ルール見直しの取り組み実例

3分の1ルールの見直しに向けた取り組みは、既にいくつかの実例があります。ここでは、実際に行われている取り組みについて紹介します。

 

3分の1ルールの緩和

日本では、食品ロス削減のための重要な一歩として、農林水産省が主導する「食品ロス削減のための商習慣検討ワーキングチーム」が2012年に発足しました。この取り組みにより、イオンリテールやイトーヨーカ堂、セブンイレブン・ジャパンなどの大手小売店が、3分の1ルールの緩和を始めています

引用:「納品期限の緩和を進める事業者が大幅に増加!」関東農政局

賞味期限表示方法の見直し

多くの食品メーカーで、賞味期限の表示方法の見直しが行われています。従来の「年月日方式」から「年月方式」への切り替えを進めることで、賞味期限が1日短いという理由だけで納品されなかった商品も納品の対象となり得るようになります。この変更は、賞味期限が近い商品の廃棄量を削減し、フードロスの問題に対処するための有効な手段であると同時に物流業者の賞味期限管理コストの削減にも大きなメリットをもたらしています。

引用:「納品期限の緩和を進める事業者が大幅に増加!」関東農政局

ディスカウント販売

大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアは、賞味期限が近い商品をディスカウント価格で販売することで、フードロスの削減に貢献しています。この取り組みは、賞味期限が近い商品をお得に購入できるという意味で消費者にとってもメリットが大きく、同時に物流業界における賞味期限管理の負担軽減や廃棄作業の発生軽減に寄与しています

 

まとめ

今回は、3分の1ルールが物流業界に与える影響と、その見直しの必要性について解説しました。3分の1ルールは、賞味期限が残り3分の1に達する前に商品を納品しなければならないという日本の食品業界独特の商習慣です。このルールは物流業界において賞味期限管理の複雑化、在庫管理の難易度増加、賞味期限外商品の返品による追加コストという課題を生んでいます。フードロス削減と物流効率の向上を目指し、農林水産省主導でルールの見直しに向けた取り組みが進められており、技術革新や業界内協力による解決策が実施されることが期待されています。

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