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3PLとは?導入のメリット・デメリットを解説 | 東運輸グループ

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2023.12.27

国土交通省も普及のために推進に向けた事業を展開している3PL。3PLの普及が進み物流の効率化が図られれば、物流コストの低減が実現できるだけではなく、CO2排出量の削減による環境負荷の軽減や地域経済の活性化につながると期待されています。時代の変化とともに複雑化する物流業務をアウトソーシングする傾向は高まっている中で、3PLにはどのような役割が期待されているのでしょうか。

 

本記事では、3PLの概要と3PL導入のメリット・デメリットを解説します。自社の物流効率を見直したいと検討されている方はご参考にしてください。

 

3PLとは

引用:国土交通省「3PL事業の総合支援」

3PLとは、サードパーティーロジスティクス(Third Party Logistics)の略で、専門的な物流のノウハウを持つ第三者企業へ自社の物流部門の業務を包括的に外部委託する業務形態を指す言葉です。物流業界において、メーカーなど供給企業をファーストパーティー、問屋などの卸売事業者や小売事業者をセカンドパーティーと呼び、第三者として物流業務を代行する物流業者をサードパーティーと定義しています。

 

3PL事業者が請け負う業務範囲は、基本的に荷主の全物流業務となり、原材料や資材などを調達する調達物流から、工場や倉庫の管理などを含む生産物流、製品の輸配送を行う販売物流まで多岐にわたります。そのため3PL事業者は、物流オペレーション実務の実行とロジスティクス全体をマネジメントする両方の能力を兼ね備えた物流企業が担うことが多いです。

 

国土交通省では、3PLの普及を通じて地球温暖化問題への対応や地域雇用の創出などの効果を期待しています。具体的な取り組みとして、3PL人材育成推進事業の実施やガイドライン等の策定、物流効率化法や物流拠点施設に対する税制特例などの支援を行っていて、3PL事業を総合的に推進しています。

 

3PLの種類

3PLは、アセット型とノンアセット型の2つに分類されます。

 

アセット型とは、倉庫やトラックなどの保管や輸送手段を自社で保有してサービスを提供する事業形態を指します。荷主と3PL事業者が1対1でサービスの向上を図る体制を築けるため、改善を素早く行えたり、信頼関係を築きやすかったりするメリットがあります。

 

それに対してノンアセット型は、倉庫やトラックなどの物流資産を所有していない事業形態で、知識(ノリッジ)を提供することから「ノリッジベース型」とも呼ばれます。取り扱う製品や物量に応じて、外部の倉庫事業者や輸送事業者を活用して物流サービスを提供していくため、荷主の要望に合わせて適切な協力会社を選定するなどして柔軟にサービスを提供できるメリットがあります。

 

3PLを採用するメリット

3PLは、メーカーなどの荷主の物流部門に代わり専業の物流業者が物流システム構築から物流業務の企画・設計・運営までを包括的に請け負う業態です。物流のプロに一括して業務委託することにより全体最適が図られる期待がありますが、具体的にどのようなメリットが出るのでしょうか。

ここでは、3PLを採用するメリットを3つ紹介します。

・コストの削減

・物流サービス品質の向上

・コア業務への集中と生産性の向上

 

それぞれ詳しく確認していきましょう。

 

コストの削減

3PL事業者に物流業務全体を包括的に委託することで、物流全体を最適な形に作り変えて、物流コストの削減効果が期待できます。3PLを導入すれば、物流全体を最適化できるため、物流のムダやムラを省いてコスト削減ができます。荷主企業が自社独自で倉庫や車両を保有している場合や保管や輸送、輸出入などそれぞれの業務を複数の物流会社へ個別で委託している場合は、3PL導入により物流業務を全体最適化させることでコスト効率を高められます。

 

また、3PLには固定費を削減してキャッシュフローを改善させる効果も望めます。物流業務を自社の物流部門で行っている場合、倉庫の費用や運営にかかる人件費は、繁忙具合にかかわらず固定費として発生して、倉庫や車両などへの設備投資も必要になります。しかし、物流業務全体をアウトソーシングできれば、倉庫や車両の設備、それらにかかる人件費を削減できることに加えて、物流システムの開発や保守料を抑える効果を期待できるでしょう。

 

物流サービス品質の向上

3PLを利用するということは、自社の物流を物流業務のプロへ委託することを意味します。大半の場合、蓄積されたノウハウが荷主企業の物流部門と比べて優れていることが多く、現状の物流事情に精通していたり、物流業界内での協力会社を多数持っていたりします。それにより、保管や輸送などの物流サービスの品質を向上できるはずです。

 

また、メーカーなどの物流を本業としていない企業の場合、物流システムの開発が軽視されることがしばしばありますが、3PLを利用すれば、3PL事業者の高度な物流システムを使える点もメリットになります。物流システム変により、保管計画や配送計画を見直すことによる納品リードタイムの短縮や多頻度小ロットの納品ニーズの対応の実現など多くの効果をもたらしてくれるでしょう。

 

コア業務への集中と生産性の向上

3PLを導入すると、商品企画や販売といった本来のコア業務に集中できるようになり生産性が向上します。自社で物流業務を担っていくためには、物流人材の教育や人材採用のために大きなコストをかける必要があり、人材や必要な予算のリソース不足が懸念されます。3PLを利用すれば、限られた人材や予算を物流業務に割り当てる必要がなくなるため、事業のコア業務に貴重なリソースを集中させることで事業全体の生産性の向上が図れます。

 

また、業務範囲をコア業務に集中させることでマネジメント範囲が狭まるため、管理コスト軽減に繋がるメリットも期待できるはずです。

 

3PLを採用するデメリット

コスト低減や業務の効率化などメリットの多い3PLですが、デメリットも少なからず存在します。ここでは、3PLを採用するデメリットを2つ紹介します。

・物流人材の空洞化

・パートナー企業の固定化による弊害

 

それぞれ詳しく確認していきましょう。

 

物流人材の空洞化

3PLを導入により自社の物流業務をアウトソーシングすると、本来自社内に蓄積されるはずだったノウハウが蓄積されずに、社内で物流を担う人材を育成していくことが難しくなります。保管や輸送などの物流実務を委託するのはもちろん、納品先の管理など実作業に付随するさまざまな業務を一括して委託すると、自社の物流業務の実態や課題点などを自社で把握している人材がいないという状態が起こり得ます。そうなると、現場の実態や運用の様子を確認しづらくなり、トラブル発生時に物流現場のどこに課題があるのかが自分たちでは把握できなくなってしまうおそれがあります。場合によっては、問題が発生する度に3PL事業者へ状況説明や改善報告書の提出を求めることとなり、自社内で物流人材が育つ環境が失われてしまうことが考えられます。

 

事実、3PLを採用している荷主企業の中には、トラブルの発生件数やコスト管理などのKPI管理をするだけになっているという企業も少なくありません。3PLを導入する際には、定期的に現場へ出向いたりして、物流企業と一緒に自社の物流をコーディネートするという意識を強く持っておく必要があるでしょう。

 

物流会社の固定化による弊害

3PL導入の動機付けの中で物流コスト低減は大きな割合を占めるでしょう。しかしながら、物流コスト低減と3PL事業者の売上確保は相反するものです。長期間物流業務を1社固定で委託する3PLにおいて、導入期のコスト削減は比較的容易ですが、長期的な視点でコスト低減案が3PL事業者側から出てきにくい状況があります。

 

また、3PL事業者には、得意・不得意な事業領域があります。例えば、海外ネットワークに特化した会社や国内の倉庫拠点、陸送を得意とする会社などさまざまです。3PL導入は、パートナーとなる物流会社の固定化を意味しているため、仮に不得意な事業領域があっても、他の物流会社へ発注することが難しくなります。3PL事業者を選定する際には、自社の課題を解決できるノウハウを持っている物流会社なのか慎重に見極めることが重要です。

 

まとめ

今回は、3PLの概要と3PL導入のメリット・デメリットについて解説しました。近年、どの企業も人的リソースやコスト面の課題に直面している状況下において、3PLの導入は有力な打開策になる可能性を持っています。ただし、コストダウンだけを導入理由にしてしまうと、想定していたほどの効果が得られなかったと後悔するケースも見られます。3PLの本来の目的は、物流ノウハウが豊富なプロへ自社の物流業務を包括的に委託することで、コスト面に加えて物流品質向上ができる点にあります。3PL導入はコスト削減に目が行きがちですが、長期的な視点を持って、全体バランスを考慮しながら慎重に検討を重ねましょう。

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