倉庫の保管効率を改善するネステナーのメリット・デメリットを解説 | 東運輸グループ
2023.11.06
倉庫内に保管する貨物を安全に段積みしたり、移動させやすくしたりすることで保管効率を改善させられるネステナー。保管する貨物量は常に一定ではなく、時期によって物量の増減や季節商品の入出庫が発生して、日々変動するのが一般的です。そのような状況下でネステナーは、日々変動する保管貨物の取り回しやすさと作業効率を向上させられるマテハンとして物流現場で重宝されています。
本記事では、物流現場でネステナーを使用するメリットとデメリットを解説します。倉庫の保管効率にお悩みの方やネステナー導入を検討されている方はご参考にしてください。
ネステナーとは
ネステナーとは、倉庫の保管能力を高めるために用いられる移動式のスチールラックのことを指します。さまざまな呼び方があり、ネステナー以外にも「ネスティングラック」「ネスラック」「スタックテナー」「テナー」などと呼ばれることがあります。
ネステナーは2~4段に積み重ねられて、1パレット分のスペースで複数のパレットを安全かつ効率的に保管できます。最大の特徴は、固定式のラックと違って導入時に設置工事の必要がなく、必要なときだけ設置して、不必要なときは重ねてコンパクトに置いておける点にあります。
ネステナーの種類
ネステナーは大きく分けて以下の3種類があります。
・正ネステナー
・逆ネステナー
・特殊なネステナー
それぞれ詳しく確認していきましょう。
正ネステナー
引用:エレクター株式会社
正ネステナーは、最も基本的な形でパレットや商品を載せる面がラックの下面にあるタイプのネステナーです。パレットと同じように下面にフォークリフトの差込口があるため、商品を載せたまま容易に移動が可能で、レイアウト変更が頻繁な倉庫や荷動きの多い貨物での使用に適しています。
また、貨物を床面に直置きしたくない場合にも向いています。
逆ネステナー
引用:エレクター株式会社
逆ネステナーは、正ネステナーを逆さにした形状で、パレットや商品を載せる面がラックの上面にあるタイプのネステナーです。天井が低くラックのサイズなどの制約が厳しい倉庫でも対応しやすい特徴があります。ラック上面に1パレット保管して、下段パレットを床面に置けば、1台の逆ネステナーで2段分のパレットを置くスペースを作れます。逆ネステナーを使用すれば少ない台数で保管スペースを作れるため、正ネステナーと比較して購入コストやレンタルコストを抑えられます。
逆ネステナーのデメリットは、ネステナーに載せたパレットと床面に保管しているパレットを別々に移動させる必要があるため、正ネステナーと比べて移動が面倒な点です。ロケーション変更を頻繁に行う倉庫では、ハンドリングコストがかかりやすいことを覚えておきましょう。
特殊なネステナー
引用:エレクター株式会社
特殊なネステナーとして、正逆両用ネステナーをご紹介します。正逆両用ネステナーは、上下どちらを上に向けても利用できるネステナーで、商品を載せる面を下面にすれば正ネステナー、上面にすれば逆ネステナーとして利用可能です。
またネステナーをさらに効率的に使用したい場合には、正ネステナーの上部に設置して1段保管スペースを増やすパレトップやネステナーの中間部分に設置することで保管スペースを増やせる中間棚などのオプションを使えば、さらに使い勝手が向上します。
ネステナーを使用するメリット
保管スペースを増やしたり、倉庫内のレイアウト変更を簡素化させたりとネステナーの使用にはいくつものメリットがあります。
ここでは、ネステナーを使用するメリットを3つ紹介します。
・保管効率が上がる
・倉庫内のレイアウトの自由度が上がる
・未使用時はコンパクトに保管できる
それぞれ詳しく確認していきましょう。
保管効率が上がる
引用:エレクター株式会社
ネステナーを導入すると倉庫の保管効率が向上して、保管スペースを有効活用できます。倉庫の天井の高さやネステナーのサイズによっては段積み可能段数は異なりますが、1パレットのスペースに2パレット~4パレットを安全に段積み保管できます。
平置き保管でも、カートン貨物やフレコン貨物を2段、3段直積みで段積みできなくはありませんが、長期間保管していると下段の貨物の荷傷みと荷崩れが懸念されます。保管効率の向上とともに、保管品質を担保するためにもネステナー導入は最適解になり得ます。
倉庫内のレイアウトの自由度が上がる
引用:エレクター株式会社
ネステナーは固定ラックのように倉庫床面に固定されていないため、パレットを載せた状態のままフォークリフトで容易に移動できます。そのため貨物を収納したまま簡単にレイアウト変更ができる自由度が高い点に特徴があります。
細かなピッキングに対応できるように1箇所に密集させたレイアウトにしたり、フォークリフトの動線を設けずに奥から隙間なく詰めていくようなレイアウトにしたりと倉庫内のレイアウトをその時々の状況に合わせて変更できます。
未使用時はコンパクトに保管できる
引用:エレクター株式会社
ネステナーは使用しないときに積み重ねることでコンパクトに保管できます。ネステナーのサイズにもよりますが、一般的に5~8台程度をまとめて重ねられます。
そのため、保管貨物が減少したときに未使用のネステナーが倉庫のスペースを圧迫するという心配がありません。特に時期によって保管する物量が変動する倉庫においては大きなメリットになるでしょう。
ネステナーを使用するデメリット
倉庫業務を効率化させられるネステナーですが、使用するうえで少なからずデメリットもあります。
ここでは、ネステナーを使用するデメリットを2つ紹介します。
・縦横高さの調整ができない
・地震対策が必要になる
それぞれ詳しく確認していきましょう。
縦横高さの調整ができない
ネステナーは高さが調節できないため、規定のサイズより大きい商品を保管することはできません。保管する貨物のサイズによっては高さが足りなくなる可能性があるので、注意が必要です。また、倉庫の高さが低いとネステナーを積み上げることができず、保管効率が上がらないこともあることを認識しておきましょう。
また、ネステナーはそれぞれ耐荷重が決まっているため、保管貨物の重量が耐荷重内であるか事前に確認が必要です。一般的なネステナーの耐荷重は1,000kgですが、高さのあるネステナーや幅が広いネステナーは500~700kg程度の耐荷重が設定されていることもあるため、注意して確認してください。
地震対策が必要になる
ネステナーは、床面に固定せずにフォークリフトによる移動が容易な反面、地震の揺れに弱いため倒壊や落下が起きないように地震対策が必要です。また、地震以外にもフォークリフトとの接触による衝撃でネステナーが崩れる危険性もあります。まずは積載物の重量バランスを考慮した保管に気を付けましょう。具体的には、積み上げたネステナーはバランスが崩れやすいため、上段部分には重量物を載せないなどの対策が有効です。
その他には、ネスバンド(ネスベルト)やネステナー連結金具などを使用し、隣り合うネステナーを連結させることも転倒防止対策の有効な手段となります。
まとめ
今回は、物流現場においてネステナーを使用するメリットとデメリットを解説しました。倉庫の保管効率の向上や倉庫スペースの有効活用、在庫管理の効率化などが期待できるネステナーは種類やサイズ、耐荷重などのスペックがさまざまなので、導入する際には倉庫の状況や保管貨物の特性を考慮して選びましょう。